前回のブログではフィプロニル危機の概要と、欧州の鶏卵の表示について少し書いてみました。
今回は、表示の見方やどんな卵なのか?を、日本事情も踏まえて具体的に書きたいと思います。
こうやって見る、卵の表示
欧州委員会規則(EC)では、卵の販売にあたり、以下を卵に記載することが定められています。
1、卵を産んだ鶏の養鶏方法
2、卵の原産国
3、生産者と産卵した鶏舎のコード番号
4、推奨消費期限
(5、産卵日・・・産卵から9日目までの「特上卵」または「高鮮度卵」にだけ義務づけられています)
実際の卵と当てはめてみましょう☆
こちら、近所のスーパーで普通に売っている卵です。
赤い文字で数字やアルファベットが印字されています。
(上下の卵共に同じ卵。1つに2か所印字がある場合がある)
例)
0-BE 103101
左から順に
0=養鶏方法
BE=ベルギー産
103101=生産者と産卵した鶏舎のコード番号
THT21.11 (マーク)
推奨消費期限 11月21日 (ベルギーのBIOマーク)
ということになります。
想像して、読んでください
1、卵を産んだ鶏の養鶏方法
養鶏方法は0~3までの数字で示されます。
0=BIO・・・オーガニックの卵ということ。
パッケージにもBIO(オーガニック)であることが記載されています。
・飼料の100%がオーガニックである
・ 鶏が屋外で放し飼いにされている
・ 鶏舎内に入れる場合は、一羽当たりの面積が他の養鶏様式よりも広い(6羽/㎡)
といった、のびのびと過ごせる環境にあります。
体に良いごはん食べて、自由に歩き回って、くつろげて・・・鶏もいきいきしてるだろうな✨
1=屋外飼育の鶏の卵
【œufs de poules élevées en plein air】と書かれています。
日中は屋外で過ごし、広く(4㎡/1羽)緑がたくさんの土地で飼育された親鶏から産まれた卵です。
でも夜は鶏舎に戻されます。
飼料もオーガニックではない場合がほとんどです。(遺伝子組み換え作物だったりする)
日中、外に出られるだけでも嬉しいかもしれないですね(^^)
2=平飼い鶏の卵
【œufs de poules élevées au sol】と書かれています。
平飼いとは、ケージに入らず地面で動ける飼い方。
一見良いように聞こえますが、屋外には出られず、鶏舎の広さもやや狭め(9羽/㎡)。
(この基準はEUのものなので、日本の地鶏や平飼い鶏とは多少異なるかもしれません)
飼料は1と同じ。
自分で動けるのは良いけれど、あまり混雑してるときっと疲れちゃいますよね。人間と同じ。
3=ケージ飼いの鶏の卵
【œufs de poules élevées en cages】と書かれています。
外に出られず、自分の意志で移動することも出来ず、ずっと狭いケージ(13~16羽/㎡、1羽あたりB5サイズしかない!)でひたすら卵を 産む【生産する】よう強制措置を取られている鶏。
自分は何のために生まれてきたのか?・・・
強制労働を強いられる収容所みたいです。
これらの卵は主にクッキーやパンなど卵入り加工食品に使われることが多いそうです。
でもでも!!
世界ではケージ飼い廃止の動きにあり、
ベルギーをはじめスイス、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、オーストリア、オランダ等ではこのケージ飼いがすでに禁止されているそうです。
確かに、ベルギーのスーパーでケージ飼いの卵は見たことがありません。
ベルギー・・・廃止してくれてありがとう・・・😢💓
ちなみにフランスでは80%がケージ飼いなんだとか。
そして、日本はなんと95%以上も・・・悲しい現実です。
オーガニックや食の安全性に関しては本当に疎い日本です。
平飼い、地鶏と聞くとなんだか贅沢に聞こえますが、この現実を知って納得。
日本で欧州のようなオーガニックの卵を気軽に手に入れることは至難の業なのです。
2、卵の原産国
ベルギー=BE、フランス=FR、オランダ=NLといったようにアルファベット2文字で生産国を示しています。
3、生産者と採卵鶏舎のコード番号
生産者にとっては、これがあることで何か問題があった場合に回収することができます。
また、消費者にとってもトレーサビリティー(どんなふうに生産され、輸送されたかを追跡できること)を得ることになります。
4、推奨消費期限
消費期限は、産卵日から28日以内。また、店舗に置いてもいい期限は産卵日から21日まで。
この消費期限はパッケージにシールで貼られていたりするので確認してみましょう♪
日本では、消費期限を季節ごとに変えています。
サルモネラ菌が増殖してしまう前、生食可能な時までを消費期限としているため、夏は短く、冬は長いのです。
以上、欧州での卵表示の見方でした。
私自身、管理栄養士でありながらも知らないことばかりでした。
欧州は日本より食品に対する意識が高く、規制も厳しいとなんとなく知っていたものの、このブログを書くにあたって卵に特化して色々調べたのは初めて。
調べていく中で、動物愛護団体のHPにたどり着きました。
ここでは養鶏環境を分かりやすく学ぶことができるのですが、そこで知ったショッキングなことがあります。
それは、鶏には食肉用と採卵用の2タイプがあり、採卵用鶏に不運にもオスとして生まれてきたヒヨコは『用無し』として、生まれて間もなくガスか粉砕機によって殺されてしまうこと。
生まれたての、もこもこふわふわな可愛らしいヒヨコ。それが、見るも無惨な姿になっていきます。動物が大好きな私にとって、何とも言えない気持ちになりました。
その動画をこちらのサイトで見ることができます。気になる方だけ見てください。
(下へスクロールしていくと動画があります)
それでも、肉を食べるし、卵を食べるし、魚も野菜も米だって食べる。
だからこそ消費者として自分の欲望のままに食べたり、安易に「体に良いから!安いから!」だけで食品を選ぶのではなく、命をいただいていること、自然の賜物をいただいていることに感謝しなくちゃなあ、と思うのです。
そして、私たち人間ができることは、動物や植物がもっと心地よい環境で暮らせる支援をすること。
人間や、動物、植物、環境に良いものを意識して選択すること。
鶏だって、ウシだって、ふかふかのベット寝られたら最高だし、そんなストレスの少ない鶏やウシには科学じゃ証明できないパワーがあります。
ストレスフルな鶏やウシを食べるよりも、パワーある鶏やウシを食べた方が元気になれそうですよね。
今は少し価格の高いBIOでも、多くの人が選択し売れるものになれば生産者も更に事業を広げられるし、価格も下がっていきます。
今の時代、安い食品には、安いなりの理由があります。
このブログを読んで、今後の卵、そして卵だけではない他の食品についても興味を持ち、意思のある選択をしたいと思える人が増えてくれたら嬉しいです。
0コメント