かつお節の大事なおはなし


簡単だけど、ちゃんと作る。

おいしいと、栄養はどっちも叶えたい。


ずっと続く、残る。

家庭料理を、もっと楽しく。

そんな提案をします。

おうちごはん研究家 SHOKOです。


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先日、とあるかつお節屋さんにお邪魔してきました。



知り合いの方から

「あそこはこの地域で古くからやってるかつお節屋さんみたいですよ~」
と教えていただいて、ずっと気になっていたものの行けていなかったお店。




たまたま近くで用事があったので、ふら~~っと寄ってみました!


そしたらお店の女将さんからとってもとっても貴重な話を聞くことができたので、このブログにメモとして残そうと思います。




管理栄養士でもちゃんとやってる、とは限らないよ


お恥ずかしながら、実は私、管理栄養士でありながらも「ほ〇だし」を日ごろからよく使っちゃってる人。



言い訳をすると、今2人暮らしで出汁をとっても使う量はそんなに多くないし、どうせ出汁をとるなら大量にとって、冷蔵庫にストックしておきたいけど入れ物(麦茶ポットみたいな?)がない。(←買えば済む話)



そもそも大きな鍋もまだ届いてない(ベルギーからの引っ越し荷物に入れていて、この前やっと東京の港に着いた)から、唯一ある極小鍋で出汁とるのはキツイ・・・



そしてなんだかんだ、ちょこっとさらっと使うには顆粒出汁が便利。



という訳で、お料理は丁寧にしたいなあ、と思いつつもついつい手抜きがちなのが和食の基本である「出汁」なのです。




でも、きちんととった出汁の香り、旨味、おいしさは知っている。



普段の生活に使える『かつお節のおはなし』

さて、話を戻して「かつお節のおはなし」。


かつお節についてあまりよく知らない私は、まずどれがオススメなのか聞いてみました。



本ガツオ、宗田カツオ、サバ、にぼし・・・



いろんな出汁があるけれど、

一番は「どんなお料理にするのか?」がポイント。



関西風な香り高い優しいお出汁でお澄ましにするのか、


それとも日常的なお味噌汁や煮物に使うのか。


“魚感”のある出汁を求めるのか。



それぞれに特徴があるからこそ、お料理にも使い分けをすると◎。



もう、この時点で無知な私は勉強になることばかり・・・✨




そして大切な「出汁の取り方」。


基本のだしの取り方と言えば、

1、水に昆布を入れ、沸騰する直前にとりだす

2.そこにかつお節を入れ、再沸騰したら火を止めて濾す



だけれど、これじゃあ家庭では勿体ない!!!と、女将さん。




実はこの方法だと、旨味ある出汁をきちんととり切れていないんだとか!



料亭などではさらに2番だしとして出汁をとるため、かつお節の旨味を出し切ることができるのですが、


家庭では十分に旨味を出し切れていないまま、それを気にせず1回出汁をとったら捨てているのか大半。ということになります。




この後聞いた女将さんの「かつお節が危ない」という話も考えると、これでは本当にもったいない。

(この後ご紹介します)



温度管理が大切で、そこが難しい出汁。



えぐみを出さずに、美味しく美しい出汁を家庭でとる方法を女将さんから伝授していただけて、感激!


これからはその方法で私も出汁をきちんととろう。




そして気になる「かつお節の分量」。


テレビやレシピ本、料理教室などではよく、

「水〇リットルに〇グラムのかつお節」


というように目安の分量を示すことが多いのですが、




これも本当は

「自分の舌で確かめるしかない」。



え?って思いました。


だって、どこで聞いても分量のお話はついてくるのですから。



女将さん曰く、


『かつお節の等級、品質、旨味の量によって、出汁の出方は変わる。

だから、〇リットルに〇グラムとは表せない。


例えば、うちのかつお節とスーパーに売っているかつお節、

同じように出汁をとっても風味や旨味は全く違うのよ。


良いものは少量でもしっかり出汁が取れるけど、

そうでないものは沢山使わないといけなかったりする。


だから、目安量というのはないのよ。』


と。


なるほど・・・



自分が持っているかつお節で、自分で何度か試して、このかつお節はこのくらいの分量がいい、というのを自分で見つけないといけないんですよね。



お鍋の中のかつお節とちゃんと対話することが必要。

「ちゃんと出汁でてる~?」って。




今、かつお節が危ない

ここからは、先ほど少し触れた「今、かつお節が危ない」というお話。

 


このお店は全て太平洋近海で獲れたカツオを仕入れているそうなんですが、


今、そのカツオの漁獲量が激減しているんだとか。



地球温暖化による海水温上昇の影響でカツオの数が少なくなっていることに加え、


海外での和食ブームによるカツオの流出、


中国や韓国のカツオの漁獲量が増加



等々の理由から、近海のカツオを仕入れることが厳しくなってきているそうなんです。



スーパーに売られているかつお節は、遠洋でとれたカツオを使用していることが多いため、品質は落ちますがまだ漁獲が可能ではあるようです。



・なぜ、近海の方が良いとされるのか?

これは、遠洋漁業の場合、漁獲されて生きたまますぐ凍結させるのに対し、

近海ではすぐ凍結しないために死後硬直によって体内のATPがイノシン酸(うまみ成分) に変換され、その状態ですぐ水揚げされてうまみ成分がある状態で冷凍保管がされるから、

遠洋よりも近海の方が「おいしい」カツオになる、ということらしいです。(私調べ)



こういった現状があるため、

今後カツオを仕入れにくくなると、販売価格を上げるか?それとも廃業するか?

というような究極の選択を迫られる、かつお節屋さんが増えるといったお話も伺いました。



安物のスーパーのかつお節は生き残り、

歴史ある、町のかつお節屋さんがそんなふうに消えていってしまう・・・と思うと、



なんだか日本人の、和食の基本である「出汁」の文化まで薄れていってしまいそうで



とても悲しく、寂しくなりました。



それと同時に、



もっと大切に出汁をとらなきゃ、

出汁の良さをもっと知って、使って、伝えていかなきゃ!


と強く思いました。




ちょっと気になったかつお節屋さんにふら~っと入っただけだったのに、



毎日の食、これからの日本の食について学ぶこと、考えさせられることが沢山あって、



最後は最適な保存方法まで教えてもらって、


とても刺激的な時間でした。



あいにく、お店を紹介することができないのですが、



これを読んだ皆様が近くのお店(かつお節屋さんに限らず、


お肉屋さんでも、お豆腐屋さんでも)に興味をもって、お話を聞いて、食に対する関心が高まったら幸いです。


そして、美味しく幸せな食卓を一緒に考えていけたらいいなと思います。


読んでくださりありがとうございました♪


SHOKO


douce

"douce"とは、フランス語で 穏やかな、優しい、心地よい、甘い、愛情のこもった、 という意味。 そんな毎日を送るためのヒントを、 食・栄養の観点から贈ります。 管理栄養士・SHOKO